いなくなる/竹節一二三
 
庭にでた
きみの育てたあさがおは
もう つぼみをつけた
これも きみのすきなばらいろ
あさがおにばらいろはおかしいね
きみのこえが耳にひびく

ああ
風がためいきをさらう
こんな瞬間も
きみとのくらしには涼しかった
どこかの家がさかなをやいている
ねこがなああうと鳴く
救急車のサイレンによばれて
いぬがとおぼえをする
わたしもまねて
きみをよぶ

きみはいない
日がおちる
かわはきんいろに染まる
くもはばらいろに染まる
そらはあおいのにあおくない
まってとよぶ声も聞かず
日は沈み 暗くなる

さよならもいえなかった
そらはあしたもきっとあおに似たいろ
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