世界の終わり/梨玖
涙はするりと溶けた
それを掬った手は もうすぐ消えるよ
泣いた筈の目は乾いて
本当に願ったことは もうすぐ叶うよ
ぼくときみの身体は離れていて
繋いだ手は継ぎ接ぎ
溶けないように紡いで来たけど
指を離してももう痛くはないから
垣間見えたは 世界の終わり
きみはふわりといつも
そうやって柔らかく 笑っているから
痛いほどの温もりが腕を支配する
だって ほら こんなにも
目まぐるしく変わっていく世界で
止まってんのは此処だけなんだろう
もう瞼は二度と開かないのに
その霞んだ瞳で涙を流せたら
其処から見える世界は美しいんだろう
掠れた声も出せないままに唄う
垣間見えたは 世界の終わり
「さようなら」と言えばきっと消えることができるから
痛い程に甘い程に迷いの様にきみの様に
その霞んだ瞳で涙を流せたら
其処から見える世界は美しいんだろう
掠れた声も出せないままに願う
垣間見えたは 世界の終わり
繋いできたのは 世界の終わり
戻る 編 削 Point(4)