田村隆一「人が星になるまで」を読んで 〜在りし日の詩人からの語りかけ〜 /服部 剛
る
というのは錯覚さ
地平線を何度も越えてきた人間の足は
時間よりもはるかに速い
〜中略〜
人 木 小動物 野鳥さえ
月光に透視されて
人間は影という実体になる
この「老人」は他ならぬ老年に入った頃の田村隆一自
身でもあると思います。長年人生の旅を続けた詩人の肉
眼に映るのは人や物事の「上辺」ではなく全ての存在の
背後に在る深い影なのでしょう。
7
人間が人間そのものになるとき
大きな木は語りだし
渓流はしずかに
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