「 隣の薔薇 」 /服部 剛
いつまでも続くような
ひとりの加速道路を
たらたらと運転しては
サイドミラーをびびって覗き
High Wayに入れなかった
もし勝負の分かれ目があるなら
合流前の加速時に
すべては決まっているだろう
今夜僕は高田馬場にあるCafeの
黒い小さな舞台の上から
一つの夜に集う人々に
すべての思いをつめこんだ
白いボールを投げ込む
そして自らの詩の言葉を
歌い終えたら、深夜の街で働く君に
「 Ever lasting lie 」という
お気に入りの曲を入れたMDを届けに
終電に乗りこむだろう
いつまでたっても
高嶺の花を微笑ませるのは容易くないが
加速道路のハンドルを握る僕は
ゆっくりとアクセルを踏み込む。
ウィンカーを点滅する。
サイドミラーを瞬時にみつめる。
いつか、助手席に
一輪の薔薇が
花開くよう
もう1度
High Wayへの合流を、
試みる。
戻る 編 削 Point(5)