紅く染まる心/知恵
「次のニュースにまいります」
淡々とした口調でアナウンサーは暗いニュースを読み終え
明るい話題に切り替えた
よくある日常の風景
僕は暗いニュースが風化してしまうことが
ただ ただ 怖かった
情報が溢れている
明るい話題よりも暗い話題が道端の石ころのように転がり
僕はいつも その石ころを拾い上げては 眺めて ただうなだれる
たまった石ころは 醜く酷く鋭利で 僕の心の中に住み着いては傷つけていく
血まみれになった心は いつしか 紅くあることに違和感を感じることなく
それどころか紅くいることを望んでいるかのようだった
きっと血まみれな心は 助けを求めているだろうに
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