こいびと/縞田みやぎ
 
ルク と紅茶

染みか

次に生まれるときには
襟口にずうっとレースをつけたいわ
レモンの匂いのするきれいな女の人になって
水のある風景を見て過ごすのよ

手首を通って 乳色が広がっていく

それは春だったかい
それは晴れた日だったかい と聞くと
君はちょっとぽつんとして

くもりだったわ
くもりだったわ
象のおなかが いいい とふるえて
雲の底をなぜて ながれていったわ
あたし晴れていたらよかった
あたし晴れていたらよかった

カップの縁を黄色くなぞって
君の室内が暮れていく
カーテンを床まで垂らしておきたいと
手のひらで口を覆う

遠くへは
[次のページ]
戻る   Point(7)