「彼女は無糖派」/菊尾
 
く冗談なんですが決まって真顔で言うため少し怖く感じる。
「ああ、そ、そう。じゃ、、買ってくるっす」
しっかりと握られたコーヒーで両手を温めて口をつけようとしない彼女は
思いっきり無視して海のほうを見つめている。彼女は無糖派。舌が渋い。
仕方がないので小銭あったかな?なんて思いながら急ぎ足で向かおうとした矢先に
「ほい!」と後ろで大きな声が掛かる。
振り返ると長細いコーヒーの缶が宙を突き抜けてくる。どストレート。球速が速い。受け取れずに落としてしまう。
「へーたーキャッチャー失格だね」
「いや無理でしょ速いし。それにほい!っていう掛け声と合って無いよねこの速度って。」
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