太陽/縞田みやぎ
 
  これは秘密のことば

  辱められるでもなく
  この部屋は
  蒸発を続けている

  届かないところで
  届かない息をしていた
  一日に気付かれぬよう
  毎分数センチのしたたかさで生きる
  この部屋は
  青い時間を知っていた今でも
  ざらついた水底はかすかに湿り
  太陽の高さをはかる

  一日に数センチ
  傾けよう
  見たこともない
  不確かさで

  太陽はいつも
  サ行の不確実をなぞる
  生きるところのさらに先に
  届かないところに響く
  この
  青さは

  これは秘密のことば
  次に生きる君が
  この部屋を
  思い出すことがないように


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