時計塔/
衿野果歩
本当はあげたかった
あのクッキーを
あなたは知らない
あなたの用意した甘いモノを
わたしは知らないし
旅先で選んだキーホルダーを
あなたは知らない
あなたの部屋のあなたの匂いを
わたしは もう 嗅げない
すれ違ってばかりだ
いつも
互いを想っていたはずなのに
かみ合わない歯車の
始めの一歩はいつだったのか
わたしたち以外出会わなければ
同じ想いを重ねて
笑っていられたのに
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