喪失・・それでも生きる/藍染ゆみ
明日も続く日常のために
仕方なくまぶたを閉じる
はせる想いがいつまでも鎮まらない
夜は深まるが心の熱さで頭がさえる
魂はあなたのそばから帰ってこない
私の抜け殻は取り残された
悶えるような寂しさで息苦しい
窓の外が白むのを感じながら
夢の世界にとんでいっては
全てが見えなくなるような
狂うことにも似た喜びを
全てをぶち壊したくなるような
怒りにも似た悲しみを
快楽を
痛みを
うつらうつらと感じている
現実とも夢ともわからぬ時空をさまよいながら
やがて
長いような短いような一夜があけて
新しい空気がたちこめる
仕方なく目を開ける
夢の記憶をたどる前に
現実の世界を始める前に
澄んだ朝に似つかわしくないため息をつく
罪悪感にさいなまれながら
息をひそめて呼吸するような1日を受け入れる
居心地悪い世の中を
魂の抜けた偽者の私がまともな振りして歩きまわる
大げさな笑いを小さく一つ一つ積み重ねて私を保つ
のうのうと昼間をうそで生き抜いて
腑抜けの私は自由な魂に嫉妬する
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