夢/松本 涼
たくさんの夢を見た
それはまるでそこが故郷のような
戦時中の異国であったり
今はもういない家族と一緒に
得体の知れない大きな敵と戦ったり
全てを飲み込む水が押し寄せる街の中で
高い屋根から更に高い屋根へと飛び移ったり
同じ夢を繰り返しも
違う夢をその度にも
たくさんの夢を見た
昔住んでいた家の庭を懐かしい犬と
噛み付き合いながら転げまわったり
優しい宇宙人といつまでも
時間について話をしたり
必要以上に煮詰め過ぎたスープが
信じられない位美味しく仕上がったり
可笑しな夢を何度でも
見知らぬ夢をその度にも
たくさんの夢を見た
そしてそこに居る僕はいつも
現実の僕よりもずっと
必死なようだった
いや
きっとそれが
僕という現実なのだろう
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