ソーダ水にまぎれる夏の日とは/たにがわR
そうだ
あの夏の日に見たのは奇跡でも何でもなくて、ただの現実だった
忘れないようにしている
夏
僕らは、三丁目の角を曲がることにしていたのだ
赤信号の下にいた少女の制服はすでに白襟の夏服になっていた
雨は、たぶん僕たちの行動を待っている
降りそうで降らない
いきつけの書店のシャッターは閉まっている
臨時休業らしい
この店も、その行動を待っていたのだろう
悩んでいたのかもしれない
そのころの僕たちは、むき出しとなった神経をささらでなぜられるように
社会と向き合って
ちょっとした言葉にも、敵意と認識して
ただ傷つけあうことしかできなかったのだ
待っていた雲が近付
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