無力/1486 106
章を書こうとしていた
いつしか思いは萎んでいった
書くだけで満足してしまうなら
詩人なんていなくてもいい
直接ふれあいもせずに
どうやって温もりを伝えようと言うの
情けないけど人は無力だ
僕も君も大差は無い
大切な人だけを守ろうとする
その中で誰を切り捨てる?
難しいことを考えていた
遠い国の病気や争いのこと
ブラウン管の向こう側の
安全な世界の上で
悔しいけど人は無力だ
僕も君も大差は無い
伝えることが押しつけることなら
やがて愛が世界を滅ぼすだろう
悔しいけど言葉は無力だ
なのにいつも寄り掛かってばかりだ
結局一番慰めたいのは
無力な自分自身なんだ
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