公園のウルトラマン/辻野克己
 
ウルトラマンは公園のベンチに座っている
子供たちのいない公園でひとり
ペンキのはげたブランコへとうつった

ウルトラマンは地球防衛軍をクビになっていた
肝心なときに、いつもいなくなるのだから
しょうがないさ、ウルトラマンは同僚に別れを告げた
誰も、別れを惜しむものはいなかった

ウルトラマンは本屋で立ち読みをしていた
ウルトラマンの損害補償について書かれていた
ウルトラ保険なんてものもあるらしい
ウルトラマンの手が少しふるえていた

ウルトラマンは酒場にいた
ぼくは限られた時間のなか、地球の命運を手にして戦っている
地球の人たちは言う、どうして早くあの技を使わないん
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