白い薔薇 /服部 剛
 
 路上に棄てられた 
 くしゃくしゃのちり紙が 
 一瞬 
 白い薔薇に見えた 

 一人の同じ人間は 
 涎(よだれ)を垂らした顔にも 
 後光の射した顔にも 
 なれるだろう 

 「ボクニハデキナイ・・・」 
 蹲(うずくま)って泣いた弱虫もやがて 
 地面にちからを溜めこんで 
 鋼(はがね)の足で、立ち上がる。 


起立シタ、茎ノ背骨ノ上ニ咲キ
歓ビ唄ウ、白薔薇ノ顔
 




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