すがたに /
服部 剛
昨日は雨のそぼ降る神保町の
古書店の並ぶ街並みを
地図を片手にさまよい歩いた
みるみるうちに地図は濡れ
丸めた白い魂にして
ポケットに入れた
翌日ポケットから取り出し
掌(てのひら)にのせた
乾燥した白い魂
ゆっくり開く
うずくまる
白い座禅の人のすがたに
になっていた
すべて開く
皺々(しわしわ)になった地図の
開いた紙の凹みは
「 大 」文字(もんじ)で立つ
人のすがたに
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