すがたに /服部 剛
 
昨日は雨のそぼ降る神保町の 
古書店の並ぶ街並みを 
地図を片手にさまよい歩いた 

みるみるうちに地図は濡れ 
丸めた白い魂にして 
ポケットに入れた 

翌日ポケットから取り出し 
掌(てのひら)にのせた
乾燥した白い魂 

ゆっくり開く 

うずくまる 
白い座禅の人のすがたに
になっていた 

すべて開く 

皺々(しわしわ)になった地図の 
開いた紙の凹みは 
「 大 」文字(もんじ)で立つ 
人のすがたに 




戻る   Point(5)