JIKU-MU*HI/影山影司
したような室で糞を垂れる。二之集団はその頃起き出して、一之集団の糞を纏め、趣向を凝らした骨董店のように陳列を行う。三之集団は一見ふらふらと昼行灯のような集まりだが、実際は警備と調査を兼ねた斥候隊である。一と二に属する虫は交代、繁殖が容易ないわば下級兵士だが三に属する虫は特別製のようだ。一と二は顎が大きく、口腔に虫独特の胃液と唾液を混合したような体液を分泌する腺を持つ。だが三の虫達は腺を持たない。顎は一際長く華奢で異人の学者が「まるでダウジングのようだ」と語る。科学信仰者は一笑に付すかもしれないが、なかなかこれが的確な表現である。顎をあちらこちらに向けてふらふらと行き来する彼らは、鉄箱に仕舞い込んだ
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