だんだん詩になる【恋する林檎編】/おるふぇ
夕日のように落ちていきたい
そう林檎はいいました
恋をして
恋をして
やわらかなまま
目をとじて
うつくしい光を
まぶたの裏に
閉じ込めるように
閉じ込めるように
林檎の故郷は
なだらかな坂の上に
誰も住む者のいない
小屋があり
そこの屋根の上から
ぼーっと
星を見上げる女性
いつも林檎は
恋をして
恋をして
赤いままで落ちていきたい
熟した果実の匂い
ねえ、
好きな匂いなら
いいんだけど
林檎はまだ
愛を知らず
ただ、
焦がれるだけ
雨の日は
雨にうたれながら
風の日は
風にふかれながら
夕日の日は
さらに赤く染まって
りんりんりりり
りんりんりりり
歌って
どのくらい
待ったのでしょう
夕日のように落ちていく
北の国の坂の下の林檎
あなたのお口に
食べられたい
そう、
願いながら
りんりんりりり
りんりんりりり
だんだん詩になる
だんだんだんだん
詩になる
そんな林檎の
恋の詩
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