詩人のシノギ(大和田建樹の巻)/みつべえ
 
年(1872)のことで、このとき小学校の教科に唱歌が設けられた。富国強兵の実現には次代を担う子供の教育が不可欠だったから、唱歌といえども民の徳性の向上と国威高揚のためという面を多く含んでいた。それを知ってか知らずか唱歌のもつ平明さと愛唱性は広汎な大衆に受け入れられていった。

 そうした機運のなか、鉄道唱歌(正式名は地理教育鐵道唱歌)は明治33年(1900)に三木書店より第1集が出版され、好評につき第5集まで続編が出された。もともとは子供の勉強に役立たせるために作られた曲であったが(歌詞のなかに地理、歴史、伝説、民話などが折り込まれている)大人にもヒットして、合わせて1千万部という大ベストセラ
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