おもちゃの兵隊/末上シン
こどもの頃
僕はポポという おもちゃの兵隊に優しくキスをした
ポポは照れ臭そうに 真っ赤になって土に潜った
ポポを知ってるのは僕だけ
僕のことを知ってるのもポポだけ
そのうち ポポがいた場所に 誰かが花を見つけた
とても真っ赤な花だった
その人は真っ赤な花を家に持って帰り 花瓶に挿した
ポポとわからなくてもいい
ポポはそこにいればいい
残ってゆくことに意味がある
ポポ
僕はポポを知っている
ポポはいま 僕を知ってるの
知っているの
僕は残ってますか
真っ赤なポポの中に
残ってますか 僕がキスしたポポ ずっと照れ臭そうに
水を注がれても照れ臭そうに、 ずっと赤く、僕の兵隊ずっと、ポポ
戻る 編 削 Point(5)