おもちゃの兵隊/末上シン
 



こどもの頃

僕はポポという おもちゃの兵隊に優しくキスをした

ポポは照れ臭そうに 真っ赤になって土に潜った


ポポを知ってるのは僕だけ

僕のことを知ってるのもポポだけ


そのうち ポポがいた場所に 誰かが花を見つけた

とても真っ赤な花だった

その人は真っ赤な花を家に持って帰り 花瓶に挿した


ポポとわからなくてもいい

ポポはそこにいればいい

残ってゆくことに意味がある

ポポ


僕はポポを知っている

ポポはいま 僕を知ってるの

知っているの


僕は残ってますか

真っ赤なポポの中に

残ってますか 僕がキスしたポポ ずっと照れ臭そうに


水を注がれても照れ臭そうに、 ずっと赤く、僕の兵隊ずっと、ポポ









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