あしのつめ/竹節一二三
サンダルをはいて
かわべりをあるく
ゆうだちのあとの
なつのにおいはわたしの
あしのつめににじんで消える
わたしがいなくなる
みどりのなかにとけはじめ
ゆっくりとかぜにながれる
上流から木ぎれをはこんで
かわはいつもよりはやい
サンダルをはいて
かわのなかにはいる
あしのつめに流木があたる
つめはあかくちをにじませて
ちは水に流れた
苔にまかれた石をふんで
ころぶ わらう
散歩のおじさんが私を呼ぶ
連れの柴犬も私を呼ぶ
おじさんはサンダル 柴犬ははだし
あしのつめはみどりのにおい
あしのつめはなつのにおい
帰ったら消毒液をふきかけよう
なつのにおいのマニキュアを塗ろう
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