日曜日の淵で/なかがわひろか
 
日曜日の淵に立って
顔が鏡の男と出会う
僕を知っているか
男は問う

男の手を引いて
僕たちは日曜日の淵を歩く
君はどうして僕を知った
僕は首を振る

そろそろ帰らなければいけない
男は立ち止まった
いつまでも日曜日の淵にいられない
その通りだった

僕たちは別れ際
顔を交換した
なかなか悪くない顔だ
僕は笑った
男も笑った

日曜日の淵で
僕は顔を失って
男は顔を手に入れた

男は向こう側へと消えて
僕は日曜日の淵を歩き続ける

僕が出会うのはどんな顔だろう

(「日曜日の淵で」)
戻る   Point(2)