日曜日の淵で/なかがわひろか
日曜日の淵に立って
顔が鏡の男と出会う
僕を知っているか
男は問う
男の手を引いて
僕たちは日曜日の淵を歩く
君はどうして僕を知った
僕は首を振る
そろそろ帰らなければいけない
男は立ち止まった
いつまでも日曜日の淵にいられない
その通りだった
僕たちは別れ際
顔を交換した
なかなか悪くない顔だ
僕は笑った
男も笑った
日曜日の淵で
僕は顔を失って
男は顔を手に入れた
男は向こう側へと消えて
僕は日曜日の淵を歩き続ける
僕が出会うのはどんな顔だろう
(「日曜日の淵で」)
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