あいつ/FUBAR
 
手首のそれらは
恰好の題材となったことだろう

吐き気をもよおしながらも
最悪という名の底からすくいとることを
忘れてはいない
口をつぐむしかなかった

振る舞いに不協和音が混じっていたが
あいつのは誰にも気づかれず
傷さえあれば
気づいてもらえたか
あいつにこそ
本物が宿っているような気がしてならない

高く堅固な壁
外側でもいい
どうか傍にいさせてくれ
ただ傍にいさせてくれ

理解はかけらも見当たらず
吐き気はやはりおさまらず
口をつぐんでいた
本音を吐き捨てるためには
遠く
低く
離れなくてはならなかった
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