まっしろな 雲の下/佐々井
 

手で輪っか、手の輪っかで
望遠鏡を作って見ても、見えるものは悠然とした今日で
やってくるのは漠然とした今日だ

何十年未来の雲は、何処で生まれた雲だろう
僕と同じ日に生まれた雲は、いつ僕の上を、通り過ぎるんだろう

子供が、たたた駆けてくる
ほら、こうして
輪っかを作って、覗いてごらん
どうだい、何が見える

僕が!僕が見えるよ!

そうか、僕が見えたのかい
僕は、元気だったのかな
やっぱり、まだそこにいたんだね

手の輪っか、いびつな丸
いびつな地球
宇宙のかたち
僕の姿、影になって
入道雲に、浮かぶ

生まれたよ
でもね
生きなくてもいいんだ
いいんだって、さ

手の輪っかで、見える世界は
いつものように回る世界だ
それでも少し、近づいたような気がするから
僕は少し、目を回すんだ



だーれだ









戻る   Point(2)