ラプンツェル/山中 烏流
「伸ばしたときには
すぐ先の庭で
私のしたいが
転がることでしょう
時に、唇は
鼓膜を
突き動かすために
震えるのだといいます
背後に広がるうみと
目の前に咲くさざなみ
を、前にして
私の矛先は
すっかりと何かを
忘れていくのです」
少女のつまさき
炎天下のアスファルト、裸足
燃え落ちるための
奥に囁くことは
逃れるための内訳
ひるがえす裾に
炎が灯る前で
夢は、覚めてしまうと
少女はいま
一人分の砂漠で
雨が降るときを
じっと待っている
聞こえ
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