バッドトリップ/風見鶏
 
うのはとてもじゃないが人に自慢できるものではなかった。父との離婚が尾を引いて祖母と母の関係はとても良好であったとは言えなかったし、兄もそんな状態に嫌気が差していたのかほとんど家に寄り付かないようになっていた。自分の意思で自由に体を動かせなくなっていった祖母は必然的に鬱気を帯び始めて、祖母の恨み言のような叫び声を毎晩のように聞きながら眠ったものだった。

 ただ、良い思い出が全く無いというわけでもない。両親が祖母を頼って同居し始めた頃はまだ目に見えて仲が悪かったわけでは無いし、少なくとも当時幼い自分にとっては平穏な生活だった。祖父が亡くなってからもそれはしばらく続いていたように思う。その頃、祖母
[次のページ]
戻る   Point(2)