静かな生活/udegeuneru
 
山のふもとで犬と暮らしている男はある朝
冷えた鉄を額に押し付けた


男は日の出と共に起き、歯を磨き、顔を洗った
薪ストーブの上でうどんを煮込み味噌で調味し食べた
丁寧に茶を淹れ、少し冷ましてから飲んだ
食べ終わるとすぐに鍋や食器を洗い、笊の上に置いた

それから霞が立つ森の中を犬を連れてゆっくりと歩き出した
ゆるやかな斜面の上に一定の速度で足を踏み出した
角度が急になってくると息が上がり、男の体から白い湯気がたった

山頂には座るのに丁度良い岩があり、男はそこへ腰掛ける
犬は地面に這うようにして座り、舌を出し、はあはあと体全体で呼吸していた
犬は老犬であった
男は
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