入院記/渡邉建志
 
当に幸せです。ある意味私は今が人生で一番幸せなのかもしれないな、と思ったりします。もちろん、好きな人たちにはあえないし、会うと今はひどいことしかいえないような気がするし、ひどい印象しか与えられないような気がします。一人でずっと病院でだまって本を読んでいて、さびしいし、今好きな人のことをぼんやり考えて、悲しくなったりするのですが。窓からは上智大学とその教会が見えます。朝には教会の鐘が鳴って、私は悲しいような幸せなようななんともいえない気持ちになります。ヨーロッパみたいだな、と思います。いろんなところでいつもなっていた朝の教会の音、気持ちが研ぎ澄まされていくような。たくさんの見えない鳥が飛んでいるよう
[次のページ]
戻る   Point(4)