墓石ノ目/服部 剛
 
女の墓は 
只無言に土を塞ぎ
幻の日々はすでに 
墓石の下に葬られ 

男は墓に 
只うな垂れて 
生きた屍の心の闇に 
灰の雪は降り積もり 

雲の流れる
空から落ちてくる  
天気雨の滴 
頬を伝う 

( 空を覆う
( 雲の間に光る 
( 太陽の眼 

墓石の下に埋められた 
棺に眠る仮死女 

生よりも甘美なる 
新たな死を告げようと 
うな垂れる男を見上げ 
墓石の下から 
眼を開く 



  ※ この詩はヴァレリィの「仮死女」を
    参考に書きました。




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