駄話/なかがわひろか
 
みじめな欲望じゃけえ、今目の前で失うても構わん。ヒクヒク鼻を近づけて臭てもろても構わんけん、その代わり腰をくねらしたシルエットはきれいやと言うて。朝ごはんに作る味噌汁に何の具を入れるんか考えることだけが私の生き甲斐やから。万年筆みたいな恋やったいうて、飲みかけのコーヒーをくれたんは何日前の話やったやろ。忘れたわけやないけえ心配せんでよかよ。私の記憶力はお富士の上を旋回する鷲よりも立派さけなあ。リュック背負って書きかけの去年のスケジュールよう読んで集合時間に間に合ったらええね。お得意さんらが賃上げ騒動起こしてる間に茶入れたから一杯飲んでいきないね。夕方から上がってきた長女とええ仲になったら、背中流してもらいない。
ええ季節やね。
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