妹よ/なかがわひろか
闇夜に咲く花はきれいやね、と言うお前はこんな真っ暗なところで一体何を見ているというのだ、と僕は思うけれど、そうだな、と同意する。お前は満足したようににやりと品無く笑い、また夜道を歩き出す。その足先はいつものあいつの元へと向いているのだろう。何もそのことに対し心臓が何かしらそのリズムを狂わせるというものでもない。少しはある。
川沿いの道はつい先ほどまで降っていた雨との臭いに混ざり合い、むんわ、ぼんやりとした香りをするアスファルト。毎日己に課した単調なるウォーキングコースはいつもと何ら変わりは無いのに、少し早歩きになってしまうのは歩調をお前が口ずさむ音の外れたパンクロックのメロディーに合わせているか
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