「 通りゃんせ 」/服部 剛
 
  駅前の信号待ちで 
  電柱に取り付けられた 
  盲人用信号

  杖を持つ白抜きの人の絵 
  その下の赤いボタンを 
  無性に押したくなる 


目を開いても盲目な 
わたしの視界を覆う靄に 
ひとすじの光の道が 
あらわれる
 

  「通りゃんせ」のメロディーに 
  顔を上げるとすでに無数の足は 
  横断歩道を渡っていた 




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