ジキタリス/こゆり
 
いちばんはじめに遡ったとして
今までずっと片すみに
咲いていたのだろうか

つりがねが揺れるたび
薄皮は内側から剥がされ
はら はら
こぼれ落ちる

ただ見つめる
伸ばした手で何もつかめなくても
こぼれ落ちたものが
どこへ行ったか分からなくても
ただ ただ

和名キツネノテブクロ
さようなら、と
ひら ひら
手をふり
裏返した手で
かげ絵をつくる

やわらかなかげは
やさしい嘘を包み込み
ほつれた糸を
ゆるく ゆるく
結び合わせる

目を閉じてまたひとつ
あくびをする
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