アナグマさんとマッチちゃん/縞田みやぎ
 
アナグマさんとマッチちゃん



アナグマさんは紳士です。
ちょっと白髪まじりの前髪を撫でつけて、茶のスーツの襟をきちんとしています。
マッチちゃんはお嬢さんです。
まだまだおちびさんなのですが、口は達者なのです。
「あたしったらなんてかわいそうなの!」
それがマッチちゃんの口癖なのでした。
アナグマさんとマッチちゃんは、表通りに面したアパートメントに、ペルシャ猫のフランシスと一緒に暮らしていました。
本棚の一段にゴブランの敷物を敷いた綺麗なお部屋が、マッチちゃんの住まいです。
マッチ箱には『橋の下火薬店』とラベルがありましたが、アナグマさんが絹のハンケチを敷いてくれたので
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