詩人のシノギ(新体詩抄の巻)/みつべえ
 
 詩人は実のところ職業ではない。農民が作物を売って生活費を得るように、労働者が労力の対価に賃金を稼ぐように、詩を売って生活するわけではない。そんな人間は少なくとも私の周囲にはいない。どこかにいるのかもしれないが見たことがない。もっとも同時代の詩人たちとほとんど交渉はないが。しかし常識的に考えればすぐわかることだ。純粋に詩作品だけを持続的に販売して、糊口を凌げる者などめったにいないだろうと。そしてたぶん歴史上の詩人たちもそうだったのだろう。
 では実際かれらはカネにならぬ詩をかく一方で、どんな職業に就いていたのだろうか。それが知りたい。だから学習することにした。その場合、資料を参考に詩人の職歴を箇
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