52歳の小鳥/結城 森士
 
あたし…
ずっと一人で薄暗いアパートに暮らしていたの
何日も洗っていない頭を床に落として、
部屋の隅に転がって、
ずっと一人で保存食の愛を食べていたの

窓の外は、緑色の大空が、紫色に染まり始めていたわ
愛を食べ終わるとあたしは、いつものように過去の傷を
ペロペロと舐めていたの
口元から大きな涙が何度も垂れたわ
「まだ死んだわけではない
 だが生きているわけでもない」
誰かが頭の中で呟いていたわ
なぜ…
誰もあたしを救ってくれなかったのかしら

あたしの住む薄汚いアパートのすぐ近くの公園
一日の遊びを終えた子ども達が
日に焼けた顔を発火させながら
自転車に乗っ
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