あーかいぶ/川口 掌
眠りから覚めた繰り返される生き物のなだらかな営みの音を聞く
流される眼差しの辿り着くその先にぽつりぽつりと滴る雨だれが
森の入口から順番に整列する椎や楢 栗 椚に少しずつ吸収される
陽だまりの揺らぎの中淡い緑を身に纏い一枚一枚丁寧に広げていく
目覚めと成長そのさなかに立ち止まる事無く空へ手を伸ばす
拾い集め抱え込む太陽の光小高い丘の上から溢れ出す伊吹
熱気のため大地を覆い立ち込める雲の隙間から覗く束の間の青
やがて青を消し去り祭りへと昇り続け始まりの咆哮輝き全てを引き裂く霹靂
熱く走り冷めるまで降り続け腹一杯になるまで食べつくし飲みつくす
潤いも渇きも忘れるほ
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