高田馬場哀歌 /服部 剛
 
葉を交わした 
今日というささやかな記念日 

屍の自分の人形を
脱ぎ捨てて 
今迄よりも生きようと思う 
独り歩きの夜 

目に見えぬ日頃の敵は 
他の誰でもない自らで 
腑抜けた己を斬る為に 
幻の鞘(さや)から抜いた光の剣を 
雨雲の覆う暗天に掲げる 

信号待ちの向こうの駅に 
少年の日の夢のように流れる 
鉄腕アトムのメロディー 

静かに降り続く 
春雨の重力に 
俯きそうな顔を 
もう一度 
あげてみる 







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