黒頭巾ちゃんとクリスマスケーキ/チアーヌ
 
と、まだ、驚くほど昼間でした。
 体がだるくなり、電車に乗るのがイヤになった黒頭巾ちゃんは、駅前でタクシーを止めると、乗り込みました。
 すると、携帯電話が鳴りだしました。
「はい」
 相手を確かめることもしないまま、黒頭巾ちゃんが電話を受けると、相手はおおかみでした。
「あら。なにか用?」
「なにか用、じゃねえよ。そろそろクリスマスパーティだろ。段取りの方はできてるか」
「ケーキは頼んだわよ」
「しらばっくれるのもいい加減にしろよ。まぁいいけどな」
 電話が切れると、黒頭巾ちゃんは小さな溜め息をつき、タクシーのエンジン音を聞きながら、そっと目を閉じました。



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