見送りの門/こゆり
 
霧立ちこめる
蒼白い朝もやの中
ぼんやり浮かび上がる
朱色の門

奇跡的に護られたという
幾年もの時代
立ち続け
幾人もの人々を
見送った

陽はゆるやかに昇り
山々を包み込む頃
潮は満ち
足元を潤す


波のきらめきと共に
静かに佇む
朱色の門

海辺に向かい
佇む僕たちを
戦いのあった時代
その時と同じように
静かに
そっと目を細め
見送るのだろう

歩き出した僕
隣りの君は
白い息を
まだ吐き切れないまま
肩越しに
ゆっくりと
歩き出す
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