『虹のように犬のように、』/川村 透
陰に隠れてこんなに蒼い顔をして
もう君たちのレモンがあんまり苦いから
僕は裏声でうたってしまうよ
レ―ニン、レ―ニン、ここにいて
僕は、大丈夫じゃない
スタ―リン、スタ―リン、そこ、にいたんだ
君と赤い、うたをうたった
プ―チン、プ―チン、どこかに、消えて
僕はただ、甘えていたかった。
--僕たちの、美しい獣の話だったね
僕たちはカキ氷みたいに、冬、にレモン水をかけたんだ
レモンの始まった日、七月一日
僕たちはすれ違う
右手と左手のように
一本の日傘の元で決して束ねられない
虹のように犬のように
僕は裏声で、うたってしまうよ
平和、平和、どこに
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