腐った野苺/大覚アキラ
 
ぼくは
腐った野苺を食べてしまったから

おかあさん

さよならです

片耳のちぎれた野良犬が
悲しい目でぼくを見つめているよ

灰色に濁った
その目の奥から覗き見る世界は
どんな風に見えるんだい

降り注ぐ
溶けるような緑の光を
身体中に浴びながら
ぼくは
喉笛を掻きむしりながら
水たまりの中を転げまわる

おかあさん

そういえば
いつか
光について
語り合ったことがありましたね

いったい
どんな話をしたのか
もう
すっかり忘れてしまったけれど
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