曲/海月
電子の中で君を探る
指先に電気信号が走る
チクリ
少し痛みが走る
君の温もりに触れたのかな
少しでもポジティブに考えなければ
君の事を探すことが出来ない
巡る言葉は数に表せないほど
君の通った軌跡を僕は通り過ぎる
地面の落書きとか笹の葉の船とか
君が残した三次元の物体に心弾む
昔の番号に電話をかけた
ピー
発信音の後に用件を
僕はそこで受話器を置いた
言葉はいくつ繋いでも時間以内に終わらない
悲しい電子音が響く
今日、最後の電車が闇に走る
缶ビールの味が美味しいと思えた
あんなに苦くて不味かったのに
僕は一つ大人になって
君の事を一つ忘れて
明日には伝えたい言葉を忘れて
一年後には君の事を忘れて
日々、思い出す君の声
隣人は皮肉にも君の得意な曲を弾いている
明日にでも隣人に会いに行こう
その曲を止めてもらうために
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