使えないきつね/木葉 揺
 
使いにくそうなきつねが
やいやい話しかけてくる
どうやら自分の使い勝手の良さを
アピールしてるようだ

あんまりうるさいので
試しに使おうとしたら
「使うな!」と怒り出した

仕方がないから手を引っ込めて
背中を向けたら
「無理なんだ・・・」
とつぶやく声がきこえた
振り向くときつねは石ころを蹴っていた

やっぱきつねは使えるのがいいよな
そう思って歩き始めたとき
一瞬、頭の中を石ころが横切った

ある夏の出来事だった



戻る   Point(9)