プール/チグトセ
さみしかったんだ
ほとんど狼みたいに毛羽立った孤独を
ずっと人の死角にかくして
宇宙に旅立ったアホウドリの飛行士の話。
最近、ようやくこの星に戻ってきた彼の話によると、
宇宙の中では、やっぱり地球がいちばん住みやすいらしい。
宇宙にはどこにも孤独が存在しなかったんだ。
そういう概念がそもそもなかったらしい。
孤独を理解しない対象にそれを説明するのはとても困難で、
彼は始終をもやもやした気分で過ごした。
アホウドリは、宇宙から帰ってきてもやっぱりアホウドリのまんまだった。
でもその代わり、きれいなアホウドリになっていた。
きれいなきれいなアホウドリ……
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)