精神病院での2年間/風音
 
士さんに挨拶。

追加眠剤をもらう。
眠れない。
3時までは追加をもらえる。

何本も煙草を吸うひとたち。
喫煙室は24時間開いている。
ベッドでテレビを見てるひとたち。
眠れない。

眠れた人は
次の日の朝みんなから祝福を受ける。

スタッフは概してやさしく親切だ。
食事もおいしい。
環境も揃っている。
緑の中に立てられた
閑静な建物。
出来て間がないから
まだとてもきれいだ。

わたしたちは
幸福な入院生活を送ってる、と
断言してもいいだろう。

けれど
みな内側には
暗い闇を抱えている。

自傷、自殺未遂は日常茶飯事だ。
実際に亡くなってしまうひともいる。

スタッフは心に深い傷を負いながら
何事もなかったかのように
ほかの患者さんの面倒を見る。

ここに
足りないのは
暗闇からの自由だけだ。



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