「メトール」/菊尾
 
息がかかる距離
上手く捉えられずにブレる輪郭
今、見慣れた顔はどんな表情?
眼差しの熱に打ち抜かれている

背中に手を伸ばし近付いてみる
胸を重ねたら鼓動も一つになれそうだから
甘い夢には溺れていたい
意識も飛んで思考から遠ざかって
感覚だけで動き抱き合っている
あたしを慈しんでくれる腕
あなたの身体に一つ、証拠を残す


しなやかで無理のない肢体
濃密で非現実な白い肌
きっと出逢ったあの日から
根底にある二人の時間は止まったままで
僕にとっての最果ては君なんだ

張り詰めた空気が言葉を奪う
何度も交わしているのに

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