串焼き/木屋 亞万
 
足で海を渡る。途中、無人島でピザを頬張り、アンチョビの塩辛さと海水との相性に舌を巻く。
後半は空を見ながら背泳ぎ。太陽は間違いなく旨いだろうなと思う。半熟の目玉焼きを彷彿とさせる、とろみたっぷりの濃い味だ。チーズが口でまだこんがりと、塩味は口の端で弾けている。

砂漠も勢いで泳いで渡ったら、背中と脇腹が少し痒くなった。耳に細かい砂が入って、少し動くだけで臨場感溢れる波の音が聞こえるようになった。
キリン燃えるサバンナに辿り着いて槍を探していたら、クシザシライオンと出会った。突然変異なのか何なのか、背中に電柱が刺さった不思議な姿のライオンだった。
「痛そうですね、可哀相に。私が食べて差し上
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