銀格子姫/由志キョウスケ
月をじっと見ていました
***
細い銀の格子に囲まれて
床はモザイク
天上には白い月の天体写真
四辺に青いクッションを敷き詰めて
お気に入りの羽根枕を左腕に
首から下げた真鍮の小さな鍵
内側から扉を閉めました
***
静かなところ
心ゆれることのないところ
こんなところは他に知りません
格子の周りをいろいろな人たちが
グルグルと巡りましたが
いつしか消えて
永遠の夢を見ました
羽根枕に顔をうずめて
終わりには
目をつぶっていました
***
月がずっと見ていました
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