ね/相良ゆう
 
空の色が青い訳なんて僕には分からなくてもいいんだ
君が君のことが好きな僕が君を好きな理由を知っていてくれるなら
僕が君を好きな理由なんて僕は知らなくてもいいんだ

それは
口の中に飛び入り参加してきた雨粒のまずさとおなじくらいどうでもいいことさ



今日もちゃんと空が青いことがいちばん大切なんだよ
生まれたばかりのシーラカンスでさえ自分の一億年の歴史を更新するために生きる運命を知っているんだよ
それが本能だからだよ


理由なんてすっとばしてありがままであることの嬉しさを知るんだ

現実が詩よりもずっと醜くて現実が唄よりももっと悲しみに充ちていることさえ飲み込んで飲み干してから







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